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★津軽三味線『藤秋会』家元★加藤訓の公式ブログ 天のいたずら
本番でエピソードがあった。
糸が切れたらカウントされないので充分に気をつけるようにとミーティングで言ったが、一番困るのは駒切れ、と言って駒に付けた糸を乗せる溝が山切りになってしまい、そこから切れることを言うが、これが中々厄介だ。


一度駒切れが起きると、同じ所から何度も切れる。
自分で注意して切れていては洒落にならないので常日頃から心がけている。
本番の日にも朝糸を替え、駒切れしないか出番直前まで確認して出た。
ところがである。
松村一郎さんの前説が始まり、3分くらいしてからか。
丁度天国にいる先人の話をしている時、パン!と言うかん高い音がした。

んっ?これはやばい!糸が切れた!
切れたのは3の糸。
まずいなあ。
前日のリハーサルでは前説の終わりの言葉しか聞いてなくあくまでもアドリブなので何分やるかはわからない。
近くにいれば糸を結ぶまで伸ばしてもらえるが距離がありそれを伝えられない。

掛け声を掛けるので、3の糸が弾けなければ、弾いたふりは出来ても、皆さんにモニターとしての音を返せない事になる。
大変な事態だが、不思議と焦りはなく、間に合う事を信じ糸を結ぶ作業をしていた。

そうしたら、私の5人右にいた訓栄が自分の三味線をすうっと差し出した。
糸が切れた音がマイクに拾われたので、もしや私でないかと思ったと言う。
さすが私の弟子だ!

場内は暗転で真っ暗だったので皆さんは全くわからない中で行われたエピソード。
訓栄が間に合ったか心配だったが、照明が入るまでギリギリセーフ、事なきを得た。

実は訓栄が座ってる席は出演者の中でも名前の通ってる師匠達を配置した場所で、当所訓栄の座席は違う場所だったが、そこに座る方が急遽出れなくなり、その会の別の方が座る事になっていた。

虫の知らせか何か問題が起きてはまずいと思い、訓栄をそこに座らせた。
この采配がぴたりと当たったのだ。
自分で言うのもおかしいが、最高の師弟連携。


それにしても天国にいる先人は味な事をやるもんだ。
天国で集まって聴いてた名人達が、場内が暗転な事を良いことに、よし!加藤に少しいたずらをしてやれ!
随分過激ないたずらだが名人達はきちんと間に合う事を想定してのいたずらだったのだろう。

多分首謀者は一番茶目っ気たっぷりでいたずら好きの私と同県人、高橋祐次郎師匠じゃないだろうか?(大笑い)
生前は随分と可愛がって頂いた。


こんな天国からの最高の演出もあり奇跡的に、2056人の演奏が揃った。
リハーサルには1000人が来てない。
これは紛れもなく、天からの贈り物。


天国に眠る大先輩達、本当にありがとうございました。
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