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★津軽三味線『藤秋会』家元★加藤訓の公式ブログ 加藤訓、民謡会館七五三奮闘記その6
司会の前振りが有りいよいよショーの始まり。
幕開けはじょんから節の津軽手踊り。
これはなんとか無事に終わった。
続いてA氏の津軽民謡。始めがよされ節。
先程楽屋で指摘されたテンポを気をつけて弾いてるつもりだが、緊張のせいで、段々速く成るのがわかる。

それでも一節目は何とか弾けたが、二節目に成ってから事件は起きた。
何と先程楽屋で合わせて頂いたのと、歌詞が全く違う。そして節も違う。

頭が真っ白に成り、パニクってしまった。
こうなれば、後は奈落へまっしぐら。
何を弾いたか解らないうちに終わってしまった。
顔はひきつり、意識朦朧状態。

山田先生の、訓、落ち着いてしっかりの声で我に帰った。
しかし余りに予想外の出来事で、中々冷静に成れない。

そうしているうちに、二曲目の津軽小原節。前弾きは何とかこなしたが、弾いているうちに、もしかして、この曲もそうではないかと不安がよぎる。

案の定、唄尻の唄い方が、楽屋とは全く違い合わせられない。
しかしこうなれば成る様にしか成らない。
私に出来る事は開き直るしか無かった。
しかしいくら開き直っても、結果は明らか。
惨憺たるデビュー戦に成ってしまった。
その後の山田先生の曲は、日夜勉強したお陰で、何とかこなしたが、楽屋で私は余りの自分の不甲斐無さにA氏の顔をまともに見る事が出来なかった。

ただただ、詫びて一刻も早くこの場から立ち去りたかった。

帰りのタクシーでも、余りにも落ち込んでいる私を見兼ねて、山田先生が励ましてくれたが、その言葉が一層、虚しさを増した。

これがいわゆる、相撲の世界で言えば『可愛がり』と、称するものか?
後で知った事だが、津軽民謡の世界では良く有る事だと聞いた。

三味線弾きがどの程度出来るか、確かめる為、或は良い意味で三味線弾きを育てる為。
どんな唄い方をしても付いて来れ無ければ、津軽民謡の伴奏は出来ないよとの叱咤激励の意味が有ると言う。

こうして、経験を重ね百戦練磨、聞き手を納得させる弾き手が作られて行くので有る。
衝撃的なデビューでは有ったが、これを機にA氏はその後私を大変可愛がってくれる様に成ったのだ。
つづく
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