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★津軽三味線『藤秋会』家元★加藤訓の公式ブログ 加藤訓、民謡会館七五三奮闘記、 その2
この頃の私は、一日中三味線浸けで有った。
3階の寮に住んでいたので、朝起きれば舞台に上がり三味線を弾く毎日。

下手な三味線程、耳障りでうるさい物は無い。
2階には専務さん一家が住んでいたが、朝からじゃんじゃん、鳴らすので、かなり安眠の妨げに成ったと思う。

山田百合子先生のご主人も七五三で働いていて、お二人は直ぐ近くに住んでいた。

私を哀れに思ったのか、昼頃に成ると必ず店の電話が鳴る。

訓、ご飯食べに来なさい。
本当に面倒見の良い方で、いつの間にか私は山田百合子先生を母さんと呼ぶように成る。
店は5時からなので、その前に近くの銭湯に行くのが日課。
4時には店に出て掃除をする。

その頃に、板場は既に仕込みに入っており、板さんのトントン、トントンと打ち下ろす包丁の音が、とてもリズミカルで心地良い。

やがて中居の、お姉さん達が出勤する。
4時半を過ぎると芸能部の面々、バンドの皆さん方が次々と出勤して来る。

民謡酒場にバンド?
不思議に思われるかも知れないが、なんとこの七五三には生バンドが入っていたのだ。

民謡が終わるとがらりとムードを変えバンド演奏でお客を楽しませる。
七五三芸能部には舞踊部も有り、時には、紀伊國屋文左衛門や、俵星玄番などの、長編歌謡舞踊等の生演奏もしたので有る。

そんな七五三は、民謡人の憧れの場所で有り、下手乍も此処にいる事がステータスで鼻が高かった。

連日、山田先生に唄付けをして貰うも、中々上手く行かない私。

そんな私に、そこそうで無くこうしなさいと、口三味線で何回も丁寧に教えてくれるが、技術の無い私は、中々思うように出来ない。
悔しくて、悔しくて

今日も皆が帰った店の中には、私の悲鳴にも似た、三味線の音だけが寂しく響くのである。
つづく
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